8.4に、後楽園ホールでプロレスリング・ノアを観戦してきました。
この日は、2000年8月にNOAHが旗揚げしてから、19周年となる記念大会!
8月開幕の『N-1VICTORY』や、9月の大阪ビッグマッチ、11月の両国ビッグマッチに向けて色々な動きが見られた今大会の観戦記になります。
憎んでも 愛しても 同じ事なんだろうぜ 二人のグライダー
誰を恨んでも くたばる時は 思い出して 笑いあいたいのさ 仇になっても
期待と不満が入り交じったNOAH Jr戦線
「試合に勝って、"ケンカ"に負けた」小峠のJr再転向初戦
この日の第2試合では、「原田大輔&タダスケvs小川良成&小峠篤司」のタッグマッチが実現!
7.27カルッツかわさき大会で、拳王による反体制派ユニット・「金剛」の脱退と、2016年末以来約2年7ヶ月振りとなるJrヘビー級再転向を発表した小峠篤司。
その再転向初戦の相手は、かつてのタッグパートナーであった、原田大輔率いる「RATEL'S」。
原田と小峠がJrタッグ王者だった2016年末…。
小峠のヘビー級転向宣言により、保持していたタッグ王座を返上する憂き目にあった原田にとって、小峠は因縁深い相手。
そんな関係性を秘めた試合は、後入場だった小峠の入場とコールを阻むようにして、原田が小峠を襲撃!
タダスケも、小川を場外で痛めつけるなど、両者の因縁を具現化したようなドロドロ具合に…。
ただ、そんな中、明らかに(悪い意味で)ターニングポイントになった場面がありました。
それは、場外乱闘中の原田が小峠を捕まえたまま、ホール南側の通路まで来た時の事…。
ホールの外壁に小峠を叩きつけ、小峠が起き上がるのを待ち構えていた原田でしたが、小峠は原田を一瞥しただけで、階段を降りてリングへ戻ってしまったんですよね…。
G+の生中継では映されていなかった場面でしたが、私含め、周囲の客からは少なからず溜息が漏れてました…。
試合は小峠が原田から直接勝利したものの、小峠のJr再転向初戦という点を加味しても、見ていて不満の多い試合だったと私は感じた次第です(私自身、小峠という選手は好きです)。
終始、原田やタダスケの存在感が際立っていた事もあり、小峠vs原田に関しては、「試合は小峠が勝ったけど、"ケンカ"では原田が勝った」印象がありました。
ここからは私の妄想になりますが、Jrのシングル&タッグリーグが終わった今のタイミングで小峠がJr再転向したことにより、8月中旬に開幕する『N-1 VICTORY』や、9月・大阪&11月・両国の東西ビッグマッチといった下半期に向けて、NOAHのJr戦線に向けて一つ話題が出来たと思うんですよね。
そういう意味でも、小峠がJr戦線を活性化する爆弾になれるかどうかは、今後の試合内容次第だと感じました。
田中稔の強さが際立っていた、Jrヘビー王座戦
序盤から、
Jrリーグ優勝を引っ提げて挑戦してきた
HAYATAに対し、
王者の田中が鬼のような左足攻め!
中盤まで、9割9分5厘ミノ様が攻めていたと思う程、一方的な試合内容に。
HAYATAが田中に脚関節技をかけられている最中、私の近くにいたお客さんが「このままだとHAYATAが見せ場無しで終わっちゃうよ…」と呟くくらい一方的でした…。
しかし、中盤以降、
HAYATAが延髄蹴りや
DDTで田中の首を攻める時間帯を作り
出すと、最後はへデック(変型
DDT)で田中から逆転勝利!
2017年6月に
石森太二に敗れて以来、
約2年2ヶ月振りとなるJrシングル王座戴冠となったのでした。
試合後は、パートナーであるYO-HEYが駆けつけると、「祝福の言葉」として、Jrヘビーのベルトに挑戦することを表明!
これにより、9.16大阪ビッグマッチで、RATEL'Sのタッグチーム対決も決定!
ただ、
あれだけ田中稔がHAYATAを"完封"していたにもかかわらず、"コロッと"HAYATAに王座が移動したように感じてしまった気がするのは、私の意地悪な考えでしょうか…?
HAYATAも良かったですけど、あれだけ一方的な内容から逆転するにしては、少々物足りなさを感じたのが率直な所。
今回発表されたHAYATAとYO-HEYのカードが、私の大阪行きを決めた一打にもなったのも事実なんですけど、それだけに、この試合内容だけ見てしまうと、凄く複雑な思いを抱いてしまいましたね…。
田中には近々、Jrヘビーのベルトに是非リベンジしてほしい所です!
3者3様だった『N-1 VICTORY』へのスタンス
この日は、8.18名古屋大会〜9.16大阪大会まで開催されるシングルリーグ戦『N-1 VICTORY』の出場メンバー発表後、初となる大会でもありました。
今回のシングルリーグの主な特徴としては…、
②参加メンバーがA・Bブロック各5人の計10名と、少数精鋭化
これにより、11.2両国国技館ビッグマッチで清宮海斗のベルトに挑戦する「挑戦者決定戦」の側面がより色濃くなったんですけど、今大会では、参戦メンバーが今回のシングルリーグに向けた主張を展開!
まず、第3試合で勝利した反体制ユニット「金剛」のリーダー・拳王は、清宮の不参戦に対し、親会社であるリデットエンターテインメントと併せて痛烈に批判!
拳王「N-1 VICTORYの出場者が発表になったな。なんとか会社の弾圧を受けてもアピールし続けてきて、ようやく出ることになったな。出るからには必ず優勝してやるよ。どれだけ今のチャンピオンに対して会社は甘いんだよ。チャンピオンが出ません? はい、わかりました、出しません? どんな会社なんだよ。いいか、俺はな、強い信念を持っているんだ。いいか、俺の信念は揺るぎないぞ。とりあえずな、N-1 VICTORY、必ず優勝してやる」
会場のレスポンスを煽り、支持を上手く取り込んだ上で、シングルリーグ優勝を掲げた姿は、まさにカリスマの域でした。
一方で、対照的に、実力で清宮の不参戦に反応した選手も。
タッグマッチとはいえ、シングルリーグ開幕前に、リーグ不参戦の王者から勝利したのは衝撃的でした…。
試合後、杉浦は清宮に、「シングルリーグ優勝しないと挑戦受けてくれないみたいだから〜」と皮肉を交ぜつつも、リーグ戦で優勝して、両国でベルトに挑戦することを宣言。
杉浦「あいつがN-1出ないって決めてるんで、それに対して俺は何もない。そのほうが、むしろベルトの価値が上がるかもしれないから。ただ、今日あいつを絞め落として“あいさつ"はしておいた。分かるだろ? N-1優勝して、あのベルトを奪いにいく…んじゃない。返してもらいに、両国のリングに行くからな。待っとけって。テンションが上がってる? ずっと上がってるよ。ベルトが目の前にぶら下がってんだから」
反体制派の拳王とは対照的に、自らを「会社の犬」とうそぶく杉浦ですが、(この1勝で挑戦資格があるにもかかわらず、)リーグ優勝しての挑戦を宣言した所は見ていてシビレましたね…。
カッコ良すぎた!
そして、後述するメインイベントでは、シングルマッチで勝利した丸藤が、Twitterで本人が使っている「丸藤見たけりゃノアに来い!」のフレーズを用いた上で、リーグ優勝を宣言!
リーグにエントリーされている3選手による、3様の主張が見られた『N-1 VICTORY』開幕前。
ただ、拳王、杉浦、丸藤の3選手とも、"リーグに優勝した上で"清宮に挑戦するというスタンスは同一。
大阪ビッグマッチで行われる優勝決定戦を制して、両国メインの座を勝ち取るのは果たして誰なのか、今から楽しみでなりません!
「旧きを知り、新しきを知る」〜旗揚げ記念のセミ&メイン〜
この日の
セミファイナルとメインイベントでは、旗揚げ記念大会ならではのカードが組まれました。
感想は以下の通り!
GHCタッグ王座戦として行われた、セミファイナルの「潮崎豪&中嶋勝彦vs齋藤彰俊&井上雅央」では、会場の声援の後押しも手伝う形で、挑戦者チームである齋藤&井上の「ダーク・エージェント・リターンズ」組が王者組を押す展開が見られるなど、白熱した内容に!
普段は、序盤のタッグマッチで会場を盛り上げる事の多い井上雅央ですが、潮崎と中嶋の打撃技を一切逃げずに受ける姿が印象的でした!
あれだけの強烈な打撃技を受けても、何度も立ち上がる井上雅央の姿に胸打たれるものがありました…。
AXIZも、そんな"マサオワールド"を全身で受け止めて勝つ姿が非常に印象的でした!
個人的にAXIZって、会場からブーイングを浴びる位強さを誇示できたり、ヒールサイドにも回れたりするチームだと思っていて、本隊寄りでそういうチームも珍しい気がするんですよね。
今後の防衛ロードも楽しみです!
メインイベントでは「丸藤正道vs鈴木鼓太郎」によるシングルマッチが約17年ぶりに実現!
昨年10月に鼓太郎がGHCJrヘビー級王座を獲得した際、ヘビー級で闘う丸藤を挑戦者に指名したんですけど、結局実現には至らず…。
そこから約10ヶ月経って、
ノンタイトルマッチとして行われた一戦でしたが、タイトルがかからないからこそ、旗揚げ記念大会という特別なシチュエーションだからこそ、実現したからこそ意味のある試合だった気がします。
多分、この周年記念のタイミングか、ビッグマッチのスペシャルシングルでないとしっくり来なかった。
何故ならば、主戦場にしている階級が違い、かつ3カウントを取れる技に溢れる二人だからこその、極上のシングルだったから…。
17年振りにシングルでやった事が信じられない程、歯車がピッタリと噛み合わさっていた内容に、感動で思わずうっとりしてしまいました…
そんな一戦は、丸藤がポールシフト式エメラルドフロウジョンで鼓太郎から勝利!
試合後、丸藤と鼓太郎が握手を交わした上で、丸藤がリング上でマイクを握ったのでした…。
試合後は、ノア19年間の歴史に思いをはせた。「思い起こせば、最初からいるのは小川さんと杉浦さんとおれの3人だけになってしまったけど、今このリングを選んで戦ってくれている選手たち、あなたたちがいるからノアがもっている。そして、何よりもあなたたち、ノアのリングを選んで見に来てくれている。本当にありがとうございます」と、所属選手、ファンら周囲への感謝の気持ちを口にした。
また、鈴木に対しても「ノアを去った時、もう二度と会わないと思ったけどプロレスというのはドラマがある」と感慨深く話した。「普通のドラマと違うのは、終わりがない。俺たちのドラマを追い続けてください」とファンに呼びかけた。
鼓太郎のNOAH退団などで交わる事のないと思われた両者が、こうしてシングルで交わった瞬間に、よく言われる「プロレスに絶対はない」という言葉の意味の深さを噛みしめたのでした…。
そんなシングルを生で見れた事が、ただただ幸せでした。
まとめ~仇になっても~
旗揚げ記念大会は、観衆発表で1288人(満員)という盛況っぷりで終わりました。
N-1や東西ビッグマッチに向けた動きも加速していった今大会でしたが、N-1を控え、ヘビー級が盛り上がりを見せる中、Jrヘビー級戦線は物足りなさを感じる内容だったかなあ、と感じました…。
大会全体の満足度は高かったんですけどね!
私個人の妄想ですが、記事の冒頭で引用している「憎んでも~」とか、「誰を恨んでも~」なんて歌詞は、今回の原田と小峠、丸藤と鼓太郎という関係性(="二人のグライダー")にシンクロするんじゃないか、なんて思ったりもしてまして…。
その辺の関係性も含め、NOAHの複数のグライダー(=選手)が、どのようなルートで飛行していくのか、今後のビッグマッチに向けて楽しみを膨らませていきたいと思った筆者なのでした!