レンブラントの変態漫遊記

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プロレスが大好きな変態の日記です

禁断の宮殿~3.29プロレスリング・ノア後楽園ホール大会 TV観戦記~

3.29に、TVでNOAH後楽園ホール大会を観戦しました。

 
新型コロナウイルスの影響で中止となった、3.8横浜文化体育館の4大GHC戦のみ開催する予定だった今大会でしたが、開催数日前に中止が決定…。
 
「史上初の無観客試合でのGHC戦」という形式で開催されたのですが、まあ、この大会が素晴らしかった!
恐らく、数十年後も「語れる」大会になったのではないか、と!
 
今回は、そんな大会の感想を書いていきたいと思います!
 

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高名な奴に威張られても
奇怪な論理押し付けて来ても
禁断の宮殿を脅かす
そんな力は 何ひとつ無いのさ
 
非凡な事に揺られても
辛辣な言葉言われていても
禁断の宮殿を揺るがす
そんなものは 他人の風景
 
the band apart - 『禁断の宮殿』
 
 
 

「ノアLIVEマッチ」という、新しい「無観客試合」のカタチ。

今回の「NOAH the CHRONICLE Vol.2」は、「無観客試合」ではなく、敢えて「ノアLIVEマッチ」と銘打たれて開催されました。
 
私自身、最初は「ポジティブな表現だなあ」という印象しか感じなかったんですけど、試合を見ていると、「なるほど!」と思わされる場面が多々ありました。
 
それは、興行を通じて、常に観客の存在が意識されていた、という点!
変な言い方になりますが、「無観客試合」だけど、「無観客」ではなかった、みたいな。
 

 

 

 
オープニングのGHCタッグ王座戦では、YO-HEYが普段通り客席に向かっての「ゲッツ!」に加え、場外乱闘ではセコンドのタダスケ(?)がお客さんがいるから危ないやろ!」と叫ぶなど、無観客であっても、常に観客の存在を意識した動きが見られました。
 

 

 
GHCナショナル王座戦後の挑戦表明における、杉浦と中嶋の観客参加型のやり取りも然り。
 

 

 
大会開始前、タイトル戦の合間、と、この日試合の組まれていない丸藤、清宮、拳王らによる、ファンに向けたメッセージも素晴らしかった!
 

 

 

www.youtube.com

 

 

「無観客」だからこそ出来た、「潮崎豪vs藤田和之

観客の存在を意識する仕掛けが随所に施されていた、今回の「ノアLIVEマッチ」でしたが、中でも一際異彩を放っていたのが、メインイベントの「潮崎豪vs藤田和之によるGHCヘビー級王座戦!
 
試合開始のゴングが鳴らされると、リング中央に立つ潮崎と、青コーナー側に立つ藤田がそのまま睨み合う展開に…。
私自身、当初は数分で終わると思っていた両者の睨み合いでしたが、何とそれは10分、20分経っても続き、結果として、藤田がタックルで動くまでの31分間睨みっぱなし!
 
この睨み合いについて、色々な考察も出ていましたが、私自身の感想をば…。
 

①無観客だからこそ出来た「睨み合い」

他の方も既に言及されていますが、この睨み合い、観客を入れていたら絶対出来ないやつだと思うんですよね。
恐らく、2〜3分間両者が睨み合うだけでも、客側が痺れを切らして、潮崎や藤田に茶々や指示を入れるのが容易に想像出来てしまう訳で…(よせ)。
 

 

 

 
そういう意味では、これをやってのけた潮崎も藤田も、NOAHも凄いとしか!
 

②一切の動きを排した、前半戦の"攻防"

30分以上にも及んだ両者の睨み合いでしたが、何が凄いかって、この間、潮崎も藤田も全く表情が変わっていなかったという…。
 
中継カメラが、両者の表情を捉えようとスイッチングしても、微動だにしない両者の険しい表情…!

 

 

もう、全く動かなくても絵になる二人!
 

 

 

個人的に、「技を極力排した」より先鋭化した、一切の動きを排した」状況でこれだけ魅せていく所に、新しい景色の一端を見たと言いましょうか…。
しゅごい!

 

 

③「睨み合い」だけに留まらない試合内容

30分以上の睨み合い、というだけでもインパクト大なメインでしたが、藤田がタックルを仕掛けた31分〜試合終了(57分)までの約半分も素晴らしかった!
 

 

藤田が潮崎をグラウンドで押し込みながら、言葉でもマウントを取りに行く所だったり、場外乱闘でも王者・潮崎を圧倒しに行く様は、まさに外敵…!!
 

 

 

 

 

潮崎ピンチの状況は終盤まで続きましたが、試合の決する数分前だったでしょうか。
藤田の強烈な張り手を顔面に喰らいながらも、前を見据え、藤田を睨みつけていった潮崎。
 
その表情を見た時、変な言い方になりますが、)「潮崎の負けは無いだろうな」と、何となく私は思いました。
 

 

 
多分ここで、そういう表情が潮崎に出ていなかったら、藤田がそのまま押して勝っていた…。
傍から見ていて、そのように感じてしまう程の猛攻を浴びながらも、目は決して死んでいなかった潮崎の姿が、私には本当に逞しく見えました。
 
そして、57分以上の熱戦に終止符を打ったのは、潮崎の豪腕ラリアットでした…!
 

 

潮崎にとって今回が初防衛戦だった訳ですが、個人的に、向こう数回分の防衛ロードに匹敵するような内容の濃さと格の上がり方を、この一戦で手に入れてしまったように感じました。
 
まさに、潮崎こそがNOAHや!!!!
 
 

各試合の雑感

小峠篤司&鈴木鼓太郎vs YO-HEY&HAYATA

現王者チームの小垰&鼓太郎組に、 YO-HEY&HAYATA組が挑戦した GHCJrタッグ王座戦
 
1年前の横浜文体でも「STINGER vs RATEL'S」というシチュエーションでJrタッグ王座戦 が行われていましたが(小川&鼓太郎vsHAYATA&タダスケ)、その時はHAYATAが脚を攻められ続けて敗戦、という苦い結末に…。
 
 
今回も、戦前より腹部を痛めていたHAYATAが、王者チームにローンバトルを強いられる苦しい立ち上がりとなりました。
 
ただ、この腹部一点集中攻撃を、中盤以降もSTINGERが続けられなかった事が、個人的に勝敗を分けてしまったポイントでもあったかなあ、と…。
前年の文体では、とにかく、ねちっこく、HAYATAを潰して勝つ嫌らしさが終始出ていただけに、尚更痛かった…。
 
1年以上にわたる両ユニットの抗争で築き上げられた、「互いの攻守が素早く切り替わる」面が随所に出ていた試合は、HAYATAが小峠からへデックで勝利し、王座奪取。
終盤の両者の攻防は見応え抜群でした!
 
あと、中盤でYO-HEYが繰り出した顔面Gを相手にキャッチされても、HAYATAが水面蹴りでアシストしたシーンなんかは凄く熱かった!
 
一つ残念なのは、このタッグベルトを巻いたシーンを、生でカメラに収められなかった事だけ…。
 
コロナのバカーーーーーーーーーーーっ!!!!!
 
 
 

・杉浦貴vs田中稔

GHCナショナル王座戦
 
マイケル・エルガン(王者決定戦)、谷口周平、マサ北宮、清宮海斗と、これまでヘビー級を相手に防衛を重ねていった杉浦が、Jrヘビーの田中稔の挑戦を受けた一戦。
 
無差別級のベルトだからこそ実現できたカードだったと思うんですけど、実際、内容もそれまでのゴツゴツしたタフネス防衛ロードからは一線を画す、極め合いのシリアスさが活かされた面白さに!
 
個人的には、試合開始直後に、田中稔が杉浦の腕を極めたシーンが全てだったような気がしています。
 

 

 
あれで杉浦がたまらずロープエスケープをしたことにより、「一気に試合が決まるのではないか」という怖さが見えたと言いましょうか。
 
あのシーンがあったから、その後、お互いに腕や脚を極め合ったり、蹴り合ったり、エルボーをぶつけ合ったり、という攻防にもスパイスが効いた。
そんな気がしています。
 
試合は、極めっこが得意な田中稔相手に、杉浦がアンクルホールドでギブアップ勝利!
杉浦、強い…!
 

 

試合後、中嶋勝彦が杉浦に挑戦表明!
 
この時のやり取りだったり、バックステージでの杉浦のコメントは、観客の存在をめちゃめちゃ意識してきたので、正直泣きました…。
 

 

 

 

小川良成vs原田大輔

GHCJrヘビー級王座戦
 
試合前、入場時にベルトを持ってこなかった王者・小川が、原田に「(お前の持っているIPWJrヘビー級王座も)かけろよ。かけないと俺もベルトかけない。」と先制"口撃"。
うわあ、めんどくさい…(笑)。
(結局、通常通りGHCJrヘビーのベルトがかけられる事になりました。
 

 

 
Jrリーグ優勝という実績を引っ提げて、小川に挑んだ原田でしたが、最後まで小川のペースを崩す決定打を放てないまま、試合が終わってしまった印象が個人的には強かったです…。
 

 

 

 
ただ、私自身、過去に小川のシングルマッチを何度か観戦する機会があったのですが、Hi69、YO-HEYHAYATAと、小川の一点集中攻撃の前になす術なく終わってしまった印象の中、原田は比較的自分のターンも作れていましたし、小川相手にあれだけ対抗できる選手もそうそういないのではないか、と思っています。
 
だからこそ、原田のその場飛びフットスタンプを喰らった直後に、十字架固めで原田を丸め込み、勝利をおさめた小川がバケモノ過ぎて震えました…。
 
解説の丸藤も「こう来るとは思わなかった」と評していましたが、あの原田の攻撃すら、小川にとっては掌の上だったのか…、という衝撃。
つよい!
 

 

試合後、STINGERの仲間である鈴木鼓太郎が小川を急襲し、次期挑戦者に名乗りを上げる、まさかの事態に!
 

 

これでSTINGER解散も取り沙汰されておりますが、これによって、「RATEL'S vs STINGER」のNOAHJr2強体制が一端終焉してしまうのでしょうか…?
その2強に食い込むユニットが見てみたいんじゃあ…。
 
 

潮崎豪vs藤田和之

試合については前項で散々書いてしまったので、ここでは敢えて一つだけ…。
 
昨年9月にNOAHに参戦した当初は、「試合がプロレスじゃない」など、NOAHファンからの拒否反応も強かった藤田でしたが、参戦から半年が経った今、記憶と歴史に残るGHC王座戦を潮崎とやってのけた事、本当に素晴らしかったです!
 
ありがとうございます!ありがとうございます!!!!
 
 

まとめ

「ノアLIVEマッチ」として行われた、今回の後楽園ホール大会。
 
その後も新型コロナウイルスの影響は続いており、以降に予定されていた『GLOBAL TAG LEAGUE』は、全公式戦が「TVマッチ」として開催…。
 

 
4.18、4.19の後楽園ホールも中止と、しばらくはNOAH以前に、プロレスも娯楽も生で見れない日々が続きそうですが、この後楽園ホール大会を見て、団体側が辛い状況をもポジティブに変えていこうとする、前向きさと逞しさを感じましたし、これが収束した際には、また会場でNOAHを見に行きたい!
 
それが、今の私の正直な思いです!