レンブラントの変態漫遊記

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プロレスが大好きな変態の日記です

また始まるために~2021.1.27 P.P.P.新木場1stRING大会観戦記~

2021.1.27に、新木場1stRINGで行われた、『P.P.P.』の興行を観戦してきました。

 
プロレスラー・三富政行が2019年に立ち上げた『P.P.P.』は、新宿FACEを中心に年3〜4回ペースで興行を開催。
 
この日行われた2021年最初の興行は、団体の新木場1stRING初進出でもありました。
 
組まれた全5試合は、どれも面白い内容だったのですけれど、そんな今大会のメインを飾ったのは、「三富政行vs大谷譲二」シングルマッチでした。
 
プロレスリングHEAT-UP所属だった2019年11月、東京都青少年健全育成条例違反の疑いにより逮捕された大谷譲二(※その後不起訴処分に)。
 
 
団体からは3ヶ月の謹慎処分が課され、処分終了後、大谷が道場で練習する様子が公式Twitterでアップされていましたが、2020年10月末を以ってHEAT-UPを退団…。
 
 
 
それから約2ヶ月後、『P.P.P.』のリングで約1年3ヶ月振りに復帰する事が発表!
この日のメインが、大谷の復帰戦でした。
 
今回は、そんな『P.P.P.』新木場大会の観戦記になります。
メインのワンマッチレビューに近い形ではありますが、個人的に、色々語りたいやつだったので、何卒…。
 

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汗は流れて頬をつたう どこまで続けるのだろう
見て見ぬふりでかまわない 人はそれを咎めないだろう

きみが伸ばした手は空にとどいて
朝の光を連れて
世界のどこかでは喜びに溢れ
それは本当かい
それは本当かい
GRAPEVINE - 『また始まるために』

 

 

大会概要

メイン前の全4試合は、団体の特色でもある『バブル』の色香が前面に打ち出された内容に。
 
「マッチョ軍団」や「PPPガールズ」達が、選手の入場シーンに華を添える姿は、まさにインスタ映え!!
 

 

 

 

 

セミファイナルのように、TRF安室奈美恵など、90年代のユーロビートナンバーを流しながら試合が進行していく試合も新鮮そのもの!
 
ダブプロレスがこのスタイルでやっていますけど、流す曲が変わるだけで、雰囲気が大分変わるんだなあ、と実感。
 
以下は、当日のツイート+写真でプレイバックしていければ…。

 

 

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三富政行vs大谷譲二

Prologue

2019年11月23日。

雨が降る曇天模様の空の下、私は昼からプロレスリングHEAT-UPを観戦する為、王子ベースメントモンスターに足を運んでいました。

 

お目当ては、団体のシングルリーグ・『灼熱王』の開幕戦。

にもかかわらず、大会開始前の会場内は、どこか重苦しく、緊張を帯びた雰囲気だった事を今でも覚えています。

 

何故なら、大谷譲二の謝罪挨拶があったから。

 

大会前、団体の代表を務めるTAMURAと共に、スーツ姿でリングに現れた大谷譲二。

 

 

謝罪する大谷に対する、観客からの反応も様々…。

 

「頭丸めろよ!」

 

「譲二のバカヤロー!」

 

「恩知らず!」

 

「待ってるよ!」

 

キッツい言葉も飛ぶ、異様な光景ではありましたが、ただのアンチではなく、チケットを買って会場に来た観客からの思い。

 

 

 

 

観客も、大谷に対して持つ思いは熱かった訳です。

 

 

その後、警察から不起訴処分となった事を受け、翌12月に団体からも処分内容が発表。

 

大谷譲二逮捕報道について(12月2日更新) | プロレスリングHEAT-UPオフィシャルサイト

 

・保持していたタッグ王座の剥奪。

 

・謹慎3ヶ月

 

この間、2020年2月に行われた『Bar045興行』で、CIMAがTAMURAに対して伝言を残した事もあったり(懐かしい)。

 

 

 

謹慎処分自体は、翌年の2020年春に明けた訳ですが、処分が明けた同時期に、日本国内で新型コロナウイルスが猛威を振るう社会情勢…。

 

経済活動に大打撃を与えたコロナの影響は、プロレス界にとっても例外ではなく、HEAT-UPも予定していた興行を中止する事態に。

 

2020年4月の緊急事態宣言発令後、HEAT-UPはYou Tubeでの配信主体に切り替えた事もあり、年内に開催した有観客興行も僅か2大会(8月、12月)に減少。

 

練習の様子がTwitterでも伝えられていた大谷譲二でしたが、この年の10月末をもって、HEAT-UP退団が発表…。

 

大谷譲二選手、室田渓人選手退団のお知らせ | プロレスリングHEAT-UPオフィシャルサイト

 

個人的には、団体が観客入れて興行をできなくなってしまった事も大きかったのかなあ、とも思ったり…。

復帰戦云々の状況ではなくなってしまった感。

 

その後、動向が注目されていた中、2020年12月に発表された、大谷譲二の復帰戦。

 

battle-news.com

 

止まっていた針が、再び動き出すことになりました。

 

『プロレスラー・大谷譲二』を取り戻すボディランゲージ

そして、興行は注目のメインイベントへ…。

 

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不祥事からの謹慎処分…。

復帰戦の音沙汰がないまま、『HEAT-UP』退団。

 

怪我ではない、1年以上のブランクを経ての復帰戦。

それまでの4試合と比べても、明らかに毛色の異なる一戦だったかと。

 

大会前のオープニングVTRや、試合前の煽りVTRでは、事件後に親戚や知人と会った時の気まずさ、バイト先を転々としていた事、コスチュームを全て捨てていた事を赤裸々に明かした大谷。

 

www.youtube.com

 

かつて、自信に満ち溢れていた復帰前の姿は、そこにはありませんでした。

完全に自信を喪失しきっていて、迷いを感じていることが、第三者からも明らかでしたから…。

 

欠場前と同じ入場曲で登場した際も、どこか所在無げな雰囲気…。

 

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この日は「マスク完全着用に限り、声を出してもOK」というアナウンスがなされていた事もあり、会場からは「譲二!」、「お帰り!」と、大谷の姿を後押しするように声援が飛びます。
 
感極まる大谷。
 

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リングコールを受ける姿も、どこか控えめ…。
 
 

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「どんな顔を向き合えばいいか分からない者同士が、久しぶりにリングで対峙したら、それが"本当の顔"なんじゃないか。」
 

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VTRで三富が語った一節を体現するかのように、序盤は組み合いで互いの動きを探る展開に。
 

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不思議なもので、この一連の探り合いが、私には三富と大谷が『会話』しているようにしか見えなかったんですよね。
互いに言葉を交わしていないにもかかわらず。
 
アームホイップの応酬なんか、特に!
 

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この辺りからでしたかね。
大谷の動きにある変化が見られます…。
 

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段々と、試合の中で「プロレスラー・大谷譲二」の姿を取り戻していくんですよね。
 
試合開始直後まで、リングに向かって歩く姿や、リングアナのコールを受けたりする姿に、明らかな迷いや自信の無さが伺えた彼が…。
 

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序盤のチョップが復帰前より弱くなっていて、動きもぎこちなかった彼が…。
 

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学生プロレス時代の先輩との『会話』を通じて、徐々に復帰前の姿へとトランスフォーム!
 

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まるで、萎れていた花に水が与えられ、再び花を咲かせるかのような…!
 
 「プロレスするぞ!大谷!」
 
 中盤、倒れた大谷に三富が檄!
これに応えるかのごとく、大谷もエルボー合戦で、強烈な一撃をお見舞い!
 

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この時点で、復帰前とほぼ変わらない所まで、エルボーの強さが戻っていたのが凄い!
 

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ソルティースプラッシュを決めようとする三富の足に、文字通り喰らいつく姿なんて、オープニングの時からは想像も出来なかったですから!
 

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ファルコンアローも見事に成功!
3カウント取れそうな一発でしたが、三富も肩を上げます。
 
最終盤のエルボー合戦では、両者この表情。
三富との『会話』を通じて、大谷に迷いはもう、無かった!
 

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大谷も強烈なエルボーで三富を追い詰めたものの、最後は三富のソルティースプラッシュが決まり、3カウント。
 

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試合後、勝利した三富がマイクを握り、大谷にこう語りかけます…。

 

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三富からマイクを渡された大谷は、復帰後初となる客前でのコメント。

 

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その後は、三富からリング上で『P.P.P.』入団オファーが飛び出したり、サプライズで登場したウエザイルが大谷に熱いエールを送ったりと、熱い場面も。

 

 

 

 

ウエザイル「某竹芝の道場でワシが管理人やってた時、彼はまだ学生でした。そん時は大谷譲二じゃない。ギャル男コレクションAGという名前で学生プロレスやってました。その時からの付き合いです。一生懸命練習来てました。いい若者だと思ってました。」

 

「そして、あのハードな事件が起こって、ハードなヨカタに、ハードな誹謗中傷受けてました。彼はきっと、ワシと会ってない時もハードな生活を送っていたと思います。そして今日、さっきワシも見せてもらってました。PPP総帥みとやんと、たいへん熱い試合、やってくれてましたね。」

 

「謹慎中、彼はきっと思う所沢山あったと思います。悲しい、見たくないようなメッセージも沢山もらったと思います。それをして、改めて、このリングに、上がってきました。そしてあんないい試合見せてもらいました。」

 

「お客さんの中には、腹に一物ある人もまだいるかもしれない。胸につかえがある人もまだいるかもしれない。喉のここまで出かかってる人もまだいるかもしれない。ただ、なんだかんだあんないい試合やってくれた彼らに対して、ここは一つ、お前の頭でどうにかなる、そんな事思ってくれなくていいです。ここからの大谷譲二をまた応援してあげてください。プロレス界の未来は、貴様らのもんじゃボケカス。譲二、また頑張って元気なファイト見せてくれよ。」

会場の観客から、レスラー仲間から受容される様子は、一時停止していた『プロレスラー・大谷譲二』のキャリアが、再び動き始めた瞬間でもありました。
 

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いやあ、良いもの見れました!
 
 

まとめ

大団円で幕を閉じた、『P.P.P.』新木場大会。
 
大谷譲二の事件後の謝罪挨拶を見ていた一人としては、(行けたなら)見ておきたい大会ではあったので、こうして生で復帰戦を見ることが出来て本当に良かった、というのが率直な感想でした。
 
大谷が犯した過ちを擁護する訳では無く。
でも、個人的に、その禊は既に済んでいると思うので。
 
実際、大谷譲二って色んな方から愛されていると思うんですよ。
 
バトルニュースで復帰戦の記事が出た翌日、奇跡的に『シエロ』で、三富総帥から直接お話を伺う機会がありまして…。
 
 
そのお話を聞いていても、『HEAT-UP』や大谷の顔を立てるべく、慎重に三富総帥がやり取りしていた事を感じましたし、そうやって裏で動いてくれる人がいるだけでも凄い。
 
実際、祝福してくれる人達は沢山いたわけですから!
 

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『OWE』に上がったり、タッグ王座を保持していたりした所から欠場となり、文字通り、0からの再始動となった大谷譲二。
 
本来ならば、『HEAT-UP』で復帰戦、というのが理想的だったと思うんですが、見終わって感じた事は、「大谷の復帰戦の相手は、三富政行しかいなかったな」と。
 
『HEAT-UP』がアレとかでは全く無くて。
 
復帰戦は、否応なく大谷のリアルを晒け出す格好になったので、団体のカラーだとかを考えても『P.P.P.』しかなかったと思いますし、着地点がここで良かったのかも知れない、なんて私自身感じた次第です。
 
現に、それを受け止めてくれる相手が、対角線にいたのですから!
 

 

 

バックステージでは「ひっそりと、ひっそりと生きていきます。」なんてコメントも出ていたようですが、当初は闘いに上がる事を恐れていた姿から、懸命に立ち上がった貴方の姿を見て、「もっと活躍してくれ!」って逆に思う私がいます。
 
 

 

だからこそ、心の底から一言…。

 

復帰、おめでとうございます!!
 
 

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