レンブラントの変態漫遊記

レンブラントの変態漫遊記

プロレスが大好きな変態の日記です

レンブラントのプロレス場放浪記 第8回〜ロンサム〜

2021.7.30に、GENスポーツパレスにて行われた『Stand uP』旗揚げ戦を観戦してきました。

 

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三富が総帥を務めるプロレス団体『P.P.P. 』による新プロジェクト・『Stand uP』。
 
旗揚げ戦では、以前レスラーとしてデビューするも、プロレスから遠ざかっていた者や、地位を築きながら、1からレスラーとしてデビュー戦に臨む者など、『再起をかける男たちのプロレスプロジェクト』というコンセプトの下、全4試合がラインナップ。
 
今回は、『Stand uP』旗揚げ戦の観戦記になります。
 
『Stand uP』には、私がプロレスを好きな理由の根幹が詰まっていました!
必見です!
 

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誰もがそう 孤独な空の影にひとり
膝抱えて
思うように光へと踏み出せずに
夜に彷徨うのさ
 
君もまだ 履き慣れない靴で歩いてる
たとえ毎日が
泡のようにはじけて消えても
足を止めないでくれよ
 
椿屋四重奏 - 『ロンサム』
 
 

会場概要

 今回旗揚げ戦が行われた舞台は、JR大久保駅から、裏路地を歩いて5分弱の位置にあるスポーツ施設・GENスポーツパレス。
 

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WRESTLE-1』(以下:W-1。2020年4月より無期限活動休止中。)の親会社・GENエンターテインメント(以下:GEN)保有する施設であり、活動休止から1年以上が経った今も、入口前の看板に『W-1』の名残が…。
 

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普段はカポエイラレスリングのレッスン教室も行われているそうで、館内を移動中、その光景が(扉の隙間越しでしたが)見れました。
 
会場に入ってすぐの螺旋階段を昇り、2Fに設けられた受付にてチケットを購入。
ここには、現在GENが運営している『K-1』のポスターが、シャッターにびっしりと貼り出されていました。
壮観!
 

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受付を終えると、今大会の会場である4Fまで、階段を昇って移動。
 
楕円形上のバルコニーが印象的な、長方形のコートの半面を利用した場内には、既に多くの人が…!
このご時世&団体の規模を考えても、札止めレベルではないかと思われる満席っぷり!
 

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 弥武リングアナと大谷譲二の前説も良かったです(小並感)。
 

 

 

大会概要

先述の通り、『Stand uP』では、プロレスから離れていた者が、リングで再起するコンセプトが設けられていました。
 
今回の旗揚げ戦は、一言で表すなら、『私がプロレスに求めている要素が、数多く詰まっていた大会』でした。
所謂『ノれる(ノれない)』だとか、『ストーリー性』だとか。
 
今大会に出場した8選手は、皆、最初から将来を嘱望されるようなスター候補生だったり、エリート街道を突き進んできた逸材だった訳ではありません。
所属外参戦だったバンビや土肥こうじ、今成夢人ガンバレ☆プロレス)も然り。
 
「1度はレスラーの門を叩くも、諦めた」とか、「団体の退団後にリングから離れていた」とか、「所属していた団体が活動休止になった」とか、何かしらの紆余曲折だったり、挫折だったりを経験している選手ばかり…。
 

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旗揚げ戦は、"アンドロメダKEN"改め『剣士郎』の復帰戦からスタート

 

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『棚ボタ弘至』が、本名の岩原弘幸としてデビューした第2試合。

Xの土肥こうじを相手に、素晴らしいデビュー戦を披露していました!

 

 

 

 

ただ、プロレスとは面白いもので、挫折を経験した選手達が『Stand uP』というキャンバスを介する事で、個々人の挫折が確固たるストーリーとして歩みを進めていたんですよね。
 
プロレスの試合を見ているはずなのに、まるで、密着型ドキュメンタリー番組を視聴しているかのような、不思議な感覚。
 

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2021年3月にデビューした八須拳太郎は、今成夢人ガンバレ☆プロレス)と燃え盛るようなバチバチファイト!

少ない試合数ながら、ハードコアもバチバチもこなせる八須、注目です!

 
この感覚は、今年1月に見た、『三富政行vs大谷譲二』のドキュメンタリー感に非常に近いものを感じました。
 

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後述するメインも含め、徹頭徹尾、人間ドラマとドキュメンタリーの結晶でした。

こういう感覚に陥る興行って、中々無いような気がしてます。

 

 

『大谷譲二vs室田渓人』

〜Prologue〜

『Stand uP』旗揚げ戦のメインは、『大谷譲二vs室田渓人』!
 
『ガッツワールド』(2018年4月解散)最後の新人選手であり、舞台俳優と、『HEAT-UP』(『GOING-UP』)所属のプロレスラーの両方で活動していた室田渓人。
 

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2020年1月、長期欠場から復帰を果たすも、その後、体調不良により再び欠場期間へ…。
同年10月に『HEAT-UP』退団が発表されて以降も、近況報告はあるものの、復帰に向けたアナウンスはありませんでした。
 
 
 
止まっていた時間が動き始めたのは、2021年も下半期に差し掛かろうとした、今年6月…。
 
同月、新木場1stRINGで行われた『P.P.P.』のハウスショーにおいて、『Stand uP』旗揚げがアナウンスされると同時に、旗揚げ戦での室田復帰も発表!
 

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対戦相手は、『ガッツワールド』時代からの先輩レスラー・大谷譲二。
 

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大谷もまた、自らの過ちで1度はプロレスから遠ざかるも、今年1月に復帰し、再起を果たした選手。
 
室田渓人のキャリアが、再び動き出した瞬間でした。
 
 

試合概要

そして、運命のメインイベント。
 
まず入場してきたのは、大谷から。
 
入場時から人目を恐れ、自信を喪失していた半年前がとても想像できないくらい、復帰前の明るさと自信を取り戻していた大谷の姿に、感動を禁じ得ない私。
 

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そして、室田が入場。
 

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入場曲とコスチュームを一新した室田に、会場からは割れんばかりの室田コール!(※)
※今大会は、マスクを鼻まで覆って着用していれば、観客が声を出せるレギュレーションでした。
 

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試合の方は、大谷と室田が30分という時間いっぱいまで、『再起』の2文字を表現しつくす内容だった印象。
 
半年前に行われた『三富vs大谷』とは違ったドラマが、この一戦には間違いなく詰まっていましたし、何より、室田が1年半ものブランクを感じさせない動きだった事に感動!
 

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 『不器用さ』、『武骨さ』といったカラーはそのままに、雪崩式フランケンシュタイナーを敢行するなど、復帰戦としては満点の内容!
 
 

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大谷も、半年前の復帰戦と逆の立場に立った試合でしたが、室田の攻撃を全身で浴び、全礼を以って室田を攻め立てます。
 

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大谷の復帰戦の相手が三富政行しか考えられなかったように、室田の復帰戦も大谷譲二しかいなかったことを強く感じさせる程、2人にしか作れない世界が展開されていきました。
 
 

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私自身、一番印象的だったのは、中盤~終盤にかけて、大谷がボディスラムを連発したシーン。
 

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大谷が室田をマットに叩きつける度、客席から起こる、割れんばかりの室田コール。
 
 
起き上がる度、大谷のボディスラムを浴び続ける室田。
 
 
ボディスラムを放ってリングから降りると、客席のコールに合わせるようにして、両の掌でエプロンを叩き始めた大谷。
 

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再起を果たした男が、文字通り『Stand Up』する過程を見れた瞬間、もう心の奥底からゾクゾクさせられました。
復帰戦という、一つのドラマを超越したドキュメンタリー!
 
試合時間が残り1分を切り、両者時間切れドローかと思われた一戦は、大谷がスライディングDで室田から勝利!
 

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 試合後は、激闘を繰り広げた両者によるマイク。
 

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室田による力強いマイクを聞いて、欠場期間中の成長を強く感じた次第…(泣)
 
旗揚げ戦も大団円で終了…、と思いきや、突如、リング上の室田と大谷を襲撃する者が…!!
 
その人物は…、浪口修!!!
 

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旗揚げ当日に「『Stand uP』を終わらせる」と宣言する浪口に、どよめく場内!

 

 

 
個人的に、浪口の乱入で、2019年11月の出来事が、不意にフラッシュバックしたんですよね。
あれは、『HEAT-UP』所属だった大谷譲二が逮捕された直後の事…。
 

 

当時、『HEAT-UP』のシングルリーグ戦に参戦が決まっていた浪口による、社長のTAMURAに向けたメッセージ。
 
そして、2019.11.23に昼夜で行われた、『HEAT-UP』王子大会。
昼興行で大谷の謝罪挨拶が行われた、王子の夜興行メインは『TAMURAvs浪口修』。
 

 

 

 

敗れたものの、浪口がTAMURAに熱いエールを送ったあの夜から、約1年8ヶ月…。

大谷と浪口が向き合うシーンが実現するなんて…!
 

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野暮な話になりますが、もしこれが偶発的だったとしたなら、このタイミングで仕掛ける浪口の嗅覚が凄いですし、確信的に2人を当てるよう仕向けていたのだとしても、仕向けた人が天才レベルで凄い(笑)。
 
個人的に、浪口の乱入をバッドエンドだと思わなかったのは、途絶えていた点と点が再び線として結びつく過程が見れたというのも大きかったかもしれないです。

こういうのがあるから、プロレス観戦って止められないんですよね!

 

 

 

まとめ

旗揚げ戦から色々とドラマチックだった『Stand uP』。
 

 

感慨深さから、色々と語りたい思いが溢れ出る大会だったのですが、メイン後の室田のマイクが全てだった気がします。
 
 「立ち上がる人間が見たいと思ったら、『Stand uP』を見に来い」
 
 私自身、「プロレスで希望をもらう」ことは過去にも沢山経験してきましたが、ここまで泥臭くも地続きで、等身大で、胸を打つようなドラマには中々巡り合えなかったりするもの。
 

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百聞は一見に如かず!
このドラマを、皆様も是非!!!!
 

 

 
※関連記事(2021年1月の大谷譲二復帰戦について書いてます)